テクニカル分析において重要な指標の一つ、ADX(Average Directional Index)について見ていきましょう。ADXは、FXトレーダーが取引の方向性を判断する際に役立つ指標であり、その値が高いほど強いトレンドがあることを示しています。
トレンドの強さを測ることができるため、ADXは特にトレンドフォロワー(※)と呼ばれるトレーダーによってよく利用されます。
※トレンドフォロワー…相場が上昇トレンドなら「買い」、下落トレンドなら「売り」をする、相場のトレンドに乗って取引をするトレーダーのこと。
FX初心者の方にもわかりやすい指標ですので、ぜひ活用してみてください。それでは、詳しく見ていきましょう。
ADXとは?
ADX(Average Directional Index)は、株式や外国為替市場(FX)などのテクニカル分析に使用される指標の一つです。ADXは、相場の強さやトレンドの形成度合いを示す指標として知られています。
まずは値の解釈と、ADXを使ったトレード戦略の詳細を確認していきましょう。
- ADXの値の解釈
- ADXを使ったトレード戦略
ADXの値の解釈
ADXの値は、通常0から100の範囲で示されます。ADXが高いほど強いトレンド相場ができていることがわかるでしょう。
一般的に、20未満のADXは弱いトレンドやレンジ相場を表し、20以上40未満のADXは相場の強さが高まっていることを示します。40以上のADXは非常に強いトレンドを表し、トレンドフォロワーにとってはエントリーポイントを見つけやすくなる可能性があります。
ADXを使ったトレード戦略
ADXはトレンドフォロワーにとって非常に有用なツールといえるでしょう。ADXが高い場合には、トレンドが強いことを示していますので、トレンドに沿ってトレードを行うことが求められます。
一方、ADXが低い場合には、トレンドの形成が弱いため、レンジ相場や反転トレードを検討する必要があります。
また、ADXは他のテクニカル指標と併用することでさらに有効なトレード戦略を組み立てることが可能になるでしょう。たとえば、ADXと移動平均線を組み合わせることで、トレンドの形成や転換点をより正確に捉えることができます。
ADXが高い状況でのみトレードするなど、ADXを組み込んだ独自のルールを作ることも可能です。
ADXテクニカル指標のメリット
次に、ADXのメリットを詳しく見ていきましょう。
- トレンドの強さを測定できる
- トレンドの転換点を捉えることができる
- トレンドの持続力を判断できる
- シンプルな解釈が可能
- 主観的な判断を排除できる
トレンドの強さを測定できる
トレンドの強さを知ることは、トレード戦略を立てる上で非常に重要な要素です。ADXは、トレンドの強さを数値化することができるため、市場のトレンドの強さや方向性を把握することが容易になります。
トレンドの転換点を捉えることができる
トレンドの転換点は、エントリーポイントを見極める際に重要な場所といえます。ADXとトレンドの転換点を示すDI(Directional Index)という指標を併用することで、効果的にトレンドの転換点を見つけることができます。
トレンドの持続力を判断できる
トレンドの持続力は、トレードの持ち越しや利益確定のタイミングを判断する上で重要な要素です。ADXは、トレンドの持続力を数値として示してくれるので、その数値を参考にすることで効果的にトレードの判断を行うことができます。
シンプルな解釈が可能
ADXはその数値が高ければ高いほど、トレンドの強さが強いことを示し、低ければ低いほど、トレンドの強さが弱いことを示します。非常にシンプルなので、初心者の方でも直感的に理解しやすいといえるでしょう。
主観的な判断を排除できる
ADXは、主観的な判断を排除することができる指標です。トレンドの力強さや転換点を数値化することで、トレーダーの主観的な感情や予想に左右されることなく、客観的な分析を行うことができます。トレードの精度や信頼性を高めることができる指標といえます。
ADXテクニカル指標のデメリット
次に、ADXのデメリットについて詳しく解説します。
- 急激な相場変動を捉えるのは難しい
- 具体的なエントリーポイントがわかりにくい
- ランダムな値の影響を受けやすい
- 値幅の動きが狭い時に指標の効果が低下する
- マーケットの状況によって使いづらい場合がある
急激な相場変動を捉えるのは難しい
ADXは、過去の価格データを基に計算される指標です。そのため、現在の市場のトレンド状況を反映するまでには時間がかかります。急激なトレンド反転や転換点を正確に捉えることは難しい場合があるでしょう。
具体的なエントリーポイントがわかりにくい
ADXは、トレンドの強さや方向性を示す指標ですが、具体的なエントリーポイントまでは示してくれません。方向性のみを示すため、具体的な売買シグナルを得るためには他のテクニカル指標と併用する必要があります。
単独では取引に直結する情報を提供しないため、トレードの判断材料としては限定的です。
ランダムな値の影響を受けやすい
ADXは、価格の変動だけでなく、ランダムな値の変動も考慮して計算されます。そのため、ランダム値の影響を受けやすいというデメリットがあります。
特に短期的な変動やサイドウェイ(レンジ相場)の場合には、ADXの値が適切なトレンド情報を反映しづらくなるため、注意が必要でしょう。
値幅の動きが狭い時に指標の効果が低下する
ADXは、トレンドの強さを示す指標ですが、値幅の動きが狭い場合には、指標の効果が低下する傾向があります。そのような状況では、トレンドの強さが減少するため、ADXの値も小さくなり、トレンドの強さを正確に示せないことがあります。
マーケットの状況によって使いづらい場合がある
ADXは、強いトレンドが発生している場合には有効な指標ですが、マーケットがレンジ相場や弱いトレンドの時には使いづらい場合があります。そのため、市場の状況に応じてADXの有用性を判断する必要があるでしょう。
以上がADXのデメリットです。ADXはトレンドの方向性や強さを知るために便利な指標ですが、デメリットも理解しておくことが重要といえます。トレードの際には、ADXを単独で使うのではなく、他のテクニカル指標と併用することでより適切な判断が行えるでしょう。
ADXの計算式
次に、具体的な計算式を見ていきます。ADXは、+DIと-DIの差を絶対値で取り、さらにそれを+DIと-DIの合計で割って計算されます。ややこしく感じるかもしれませんが、この計算式を覚える必要はありません。
TR = 真のレンジ(True Range)
+DM = 上方向のムーブメント(Upward Movement)
-DM = 下方向のムーブメント(Downward Movement)
- 真のレンジ(True Range)の計算
真のレンジは、以下の3つの値の中で最大の値を取ります。
– 当日の高値と前日の終値の差(High – Previous Close)
– 当日の高値と前日の安値の差(High – Low)
– 当日の安値と前日の終値の差(Low – Previous Close) - 上方向のムーブメント(+DM)の計算
当日の高値と前日の高値を比較し、当日の高値の方が大きければ、その差を+DMとします。もし前日の高値の方が大きければ、+DMは0とします。 - 下方向のムーブメント(-DM)の計算
前日の安値と当日の安値を比較し、前日の安値の方が大きければ、その差を-DMとします。もし当日の安値の方が大きければ、-DMは0とします。 - +DIと-DIの計算
+DIは、+DMの14日間の移動平均を真のレンジの14日間の移動平均で割ったものです。
-DIは、-DMの14日間の移動平均を真のレンジの14日間の移動平均で割ったものです。 - ADXの計算
DXは、(+DI – -DI) / (+DI + -DI) * 100で計算されます。
ADXは、DXのN日間平均で表されます。
ADXと+DI、-DIの関係
ADXは、+DI(上方向の指標)と-DI(下方向の指標)の2つのラインとして表されます。+DIは上昇トレンドの強さを、-DIは下降トレンドの強さを示します。
ADXが上昇し、+DIと-DIが同時に上昇する場合、強い上昇トレンドであることがわかるでしょう。一方、ADXが上昇し、+DIが上昇し-DIが下降する場合、強い下降トレンドがあることがわかります。ADXが下降する場合は、トレンドが弱まっているという意味です。
ADXテクニカル指標の注意点・初心者が気をつけるべきこと
初心者の方にとっては少し難しいかもしれませんが、以下の注意点に気をつけることでADXについての理解が深まるでしょう。
- ADXの基本的な計算方法を理解する
- ADXの解釈に注意する
- ADXと他のテクニカル指標の組み合わせを考える
- 過去のデータに依存しすぎない
- フレームワークとしての利用を考える
ADXの基本的な計算方法を理解する
ADXの計算方法を理解することは、このテクニカル指標を利用する上で非常に重要です。ADXは、+DI(上昇方向インディケーター)と-DI(下降方向インディケーター)を使って計算されます。計算式を覚える必要はありませんが、この計算方法を理解しておくことが大切です。
ADXの解釈に注意する
ADXの値は、0から100までの範囲で表され、一般的に、20以下の値は弱いトレンドを示し、20以上40以下の値は中程度のトレンドを示します。一方、40以上の値は強いトレンドを表すとされています。初心者の方は、トレンドの強さを正確に把握するよう心がけましょう。
ADXと他のテクニカル指標の組み合わせを考える
ADXは、トレンドの強さや方向性を示す指標ですが、それだけでは十分な情報を得ることができません。そのため、他のテクニカル指標との組み合わせを考えることが重要です。例えば、ADXと移動平均線を組み合わせることで、より正確にトレンドの判断ができるようになるでしょう。
過去のデータに依存しすぎない
ADXを利用してトレンドを判断する際には、過去のデータに依存しすぎないように注意が必要です。また、ADXは中長期のトレンドの強さを示すため、短期のトレンドを判断する際には他の指標とも組み合わせてトレード戦略を立てましょう。
フレームワークとしての利用を考える
ADXを利用する際には、単独で使うだけではなく、全体的なトレンドの判断に役立てることも考えましょう。
例えば、ADXが強いトレンドを示している場合には、そのトレンドに合わせてポジションを取ることができます。トレンドフォローの手法として利用することで、より効果的なトレードが可能になります。
以上が、ADXテクニカル指標を利用する上での注意点や初心者が気をつけるべきことです。継続的な学習と経験を積むことで、より良いトレードの判断ができるようになるでしょう。ぜひ、ADXをマスターして、より安定したトレードを目指してみてください。
ADXの考え方を理解し、うまく活用することで効率のよいトレード戦略を考えよう
今回はADXについて詳しく解説しました。ADXの値は0から100の範囲で示され、20未満の場合はトレンドが非常に弱いことを示し、40以上の場合は非常に強いトレンドが存在していることを示します。
ADXはシンプルで便利な指標ですが、トレンドの強さを示す指標であり、トレンドの方向を示すものではないため、他のテクニカル指標と併用してトレンドの方向を判断することが重要です。
強いトレンドが確認された場合は、そのトレンドに合わせて売買を行うことで利益を上げることができます。逆に、トレンドが弱い場合は、トレードを控えるようにしましょう。
ADXの使い方を習得するためには、実際のチャートを見ながら練習することが大切です。チャートを見る習慣を身につけ、慣れることができれば、ADXの情報を正しく読み取ることができるようになります。
ぜひ実際のチャートで練習を積み重ねてみてください。重要な指標ですので、将来のトレードに役立つことは間違いありません!
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