FXの世界で勝ち残っていくためには、「ダウ理論」を理解する必要があります。
ダウ理論を知っていると、今の相場環境(レンジなのか、トレンドなのか)や、トレンドの方向性の判断がしやすくなるためです。
FXで勝率を高めていくには、「ダウ理論」を学んでおきましょう。
FXのダウ理論とは?
ダウ理論とは、アメリカ合衆国のジャーナリストで証券アナリストであったチャールズ・ダウ氏が提唱した相場理論です。
そのため、名前から「ダウ理論」と名づけられました。
元々は株式投資で使われていたダウ理論ですが、FXにおいても効力を発揮しています。
多くの投資家が意識して使用しているテクニカル分析なので、是非身につけてください。
ダウ理論6つの基本原則
ダウ理論には6つの基本法則があります。
ダウ理論の基本中の基本なので、まずは6つの基本原則から覚えておきましょう。
- 為替レートの事象を織り込んで決まる
- トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される
- 主要なトレンドは3つの段階から形成される
- 価格は相互に確認される
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する
①為替レートはすべての事象を織り込んで決まる
ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件とも言われる国や企業などの経済状態などを表す指標のこと)や自然が起こす予測不可能な現象に至るまで、需要と供給に関わるすべてのことは市場に織り込まれるという理論です。
少し難しく聞こえてしまいますが、考え方としてはとてもシンプルで、すべての事象から為替レートは決まっているということ。
世界のどこかで発生している戦争や、自然災害、経済指標や金融の緩和以外にも大口投資家の売り注文、買い注文等、すべての事象から為替レートは決まっていきます。
ダウ理論は、この考え方から「為替のチャートは全てを含んでいる」ということを謳っており、チャートを分析する「テクニカル分析」の原点となっているのです。
②トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される
市場には、3つの相場の流れ(トレンド)があります。
- 短期トレンド:3週間未満のサイクル
- 中期トレンド:3週間~3か月のサイクル
- 長期トレンド:1年~数年のサイクル
この3種類のトレンドが組み合わさって相場はできているのです。
相場は大きいトレンドの中で、小さいトレンドが出来ています。
たとえば、長期トレンドでは下落していても、中期トレンドでは調整が入り、一時的に上昇することがあります。
どのトレンドに乗って利益を出すのか、自身の取引スタイルを決めておかないと、利益を出すことは難しくなるでしょう。
③主要なトレンドは3つの段階から形成される
ダウ理論では、主要なトレンドは3段構成になっていると言われています。
- 先行期 :市場価格が下落している状態で、悪材料は出尽くしたと判断した一部の投資家が底値買いをする時期。底値圏での推移から価格が緩やかに上昇していく段階です。
- 追随期 :市場価格が上昇トレンドになり、多くの投資家が買い注文で参入してくる時期。
- 利食い期:市場価格が十分に上昇し、①の先行投資家たちが利益確定の注文を入れる時期。上昇トレンドの勢いが弱くなっている時期。
大きなトレンドが発生するときは、この3つの段階を踏んで、大きなトレンドが発生するこの形がよく発生すると言われています。
最初は注文数が少ないので、上昇は穏やかですが、②の追随期にはいると価格は急上昇し、上昇の後、利食いの売り注文でトレンドは下降。
利食い期に買い注文を入れてしまうと損失を抱えてしまう可能性があるので、注意しましょう。
④価格は相互に確認される
複数の指標が存在している場合、両方同じ方向のシグナルが出ない限りトレンドは発生しておらず、レンジ相場と考えられます(完全に同時ではなくても、同時期に発生した場合は同時発生と捉える)。
たとえば、RSI等のオシレーターは買いのサインを出しているのに、トレンド指標では売りのサインが出ている場合、本格的なトレンドが発生するとは考えにくいでしょう。
⑤トレンドは出来高でも確認されなければならない
上昇トレンドであれば、出来高価格が上昇するにつれて増加しますが、価格が下落するようになったら、出来高は減少していきます。
出来高が少なくなってきた場合は取引量が少ないので、ダマシ(テクニカル分析で売買サインが出たが、トレンドはそのサインとは全く逆方向に動いてしまうこと)が発生することが多いです。
⑥トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する
トレンドは、大きなトレンドの中で小さなトレンドが上下してできているものです。
トレンドの前に起きているダウンの安値を下回らなければ、トレンドは継続していると考えます。
反対に、前に起きたダウンの安値を下回った場合は、トレンドの変換点と考えることができるでしょう。
ダウ理論を知っておくべき理由
FXをするにあたって、ダウ理論を知っておきべき理由が3つあります。
「ダウ理論を覚えなくても良いのでは……」と考えているなら、なぜダウ理論が必要になるのか、理由を知っておきましょう。
- 感覚的トレードの回避
- テクニカル分析とつながっているため
- 相場分析の基本を知るため
①感覚的トレードの回避
感覚的トレードは、FXを行う上で注意しなければいけません。
- 「なんとなくここから上昇しそうだな」
- 「こんなに下がったんだし、そろそろ上がるだろう」
- 「ずっと停滞してたし、もう下がるだろう」
このように心理的に考えてしまうのは、初心者が多くやりがちなミスです。
その時の感情や願望でトレードをしてしまうと、多くの場合損失を抱えることになります。
ダウ理論を理解することが出来れば、今後のトレンドの予想をすることが出来、感覚的トレードを回避できるようになるでしょう。
②テクニカル分析とつながっているため
FXをする際に重要なのが、以下3つの把握です。
- 今がトレンドなのかレンジなのか
- 上昇なのか下降なのか
- トレンドは強いのか弱いのか
トレンドの方向性を表す移動平均線や、レンジ内での強弱を判断するRSI等、多くのテクニカル指標がダウ理論を元にうまれています。
テクニカル分析を有効に活用するためにも、ダウ理論を覚えておきましょう。
③相場分析の基本を知るため
ダウ理論は、ほぼ全てと言っても過言ではない多くの投資家が把握しており、意識している理論です。
相場は出来高により変動するので、いわば多数決で動いていると言えます。
まずはこの基本を知って初めて、他の投資家たちと同じ土俵に立てるのです。
ダウ理論の使い方
上昇トレンド中のエントリーポイントは、前回の安値を切り上げ、上昇した際の高値がレジスタンスラインを超えたタイミング。
上昇トレンドの中でエントリーをしているので、次のレジスタンスラインで利食いすると、利益の確保がしやすいです。
安値を切り下げたり、高値を切り上げれなかった場合は上昇トレンドが終わる可能性があるので、損切りを考えるポイントになります。
下降トレンド中のエントリーポイントは、前回の高値を切り下げて、下降した際の安値がサポートラインを超えたタイミング。
下降トレンドの中でエントリーをしているので、次のサポートラインで利食いすると、利益の確保がしやすいです。
高値を切り上げたり、安値を切り下げれなかった場合は下降トレンドが終わる可能性があるので、損切りを考えるポイントになります。
ダウ理論の注意点
ダウ理論は有名であるため、多くの投資家が意識している方法です。
決して無視することはできませんが、短期足・長期足どのチャートを見るかによって、見え方が違う注意点があります。
上位足では下降トレンドになっているが、下位足は上昇トレンドになっている場合等、トレードタイミングを間違うと損切りせざるをえません。
また、ダウ理論は少し後付けになりやすいという特徴があります。
多くのローソク足から形成されたトレンドを元に判断を入れる必要があるため、エントリータイミングが遅くなってしまいやすいです。
トレンドが継続する安定した相場であれば問題ありませんが、アメリカの選挙や戦争などで為替相場が不安定な場合、トレンド自体が短く、エントリーするタイミングを逃してしまいます。
ダウ理論は組み合わせで使おう
FXをする上で、ダウ理論は必ず理解しておく必要があります。
とはいえ、このダウ理論は完璧なものではなく、内容を全て理解しても確実に勝てるというものではありません。
ダウ理論をトレードのベースにしつつ、移動平均線やRSI等のテクニカル分析を組み合わせて使っていくことで、取引の精度を上げることができるでしょう。
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